PM2.5・黄砂対策100選

PM2.5や黄砂を吸い続けると
皮膚や脳にも影響が

PM2.5と黄砂の健康被害3

 14: じんましん、肌荒れ

PM2.5は口や鼻から吸い込むだけでなく、肌にも吸着します。なにせ毛穴よりも小さい粒子ですから、皮膚に付くと沈着したり毛穴を塞いでしまったりします。

汗腺や毛穴は汗や脂を体内から排出するためのものです。そこがPMによって塞がれてしまうと、体内の老廃物が排出されずに炎症を起こしかねません。
具体的にはじんましんや肌荒れといった皮膚トラブルとして表面化します。

肌トラブル

 15: アトピー性皮膚炎

PM2.5はじんましんや肌荒れにとどまらず、アトピー性皮膚炎の諸症状を引き起こすことも知られています。

とはいえ近年まで大気汚染とアトピー性皮膚炎の関連に関して、その根拠理由は解明されていませんでした。
しかし東北大学大学院医学系研究科の研究により、そのあたりがクリアになりました。

PMは、DNAに結合して遺伝子の発現を制御するタンパク質である転写因子AhRを活性化させます。それによって神経の生存や成長や分化を促すタンパク質である神経栄養因子アルチミン(artemin)が現れることで、皮膚の表皮内へ神経が伸長。これによってかゆみをより強く感じやすくなることが判ったのです。
かゆみが強いとどうしても掻いてしまい、皮膚炎が悪化するのはご存じのとおりです。

肌のかゆみ

 16: しみ、しわ、肌のたるみ

肌が老化する原因といえば、誰もが思いつくのが紫外線。ほかにもストレスや食生活、喫煙などの理由も挙げることができるでしょう。
それに加えて昨今では、PM2.5もその要因のひとつだと言われているのです。

肌の内部にある蛋白質や肌自身の防御機能に対して、PM2.5は紫外線とも結びついて悪影響を及ぼします。実際に大気が汚れている場所で暮らすと、肌の老化が一層進むという調査結果もあるほどです。
肌が気になる女性は、紫外線対策にプラスしてPM2.5対策も実施しましょう。

肌トラブルで悩む女性

 17: 肺がん

PM2.5と癌との直接の因果関係は、まだ研究途上です。
とはいえ、特に高濃度のディーゼル排気微粒子 (DEP) に関しては、ラットへの動物実験において肺腫瘍への因果関係が明るみになっています。

これもまた今後の研究の成果が待たれるところではありますが、発がんのリスク低下を心がけるのであれば、やはりPM2.5をなるべく吸い込まない環境づくりに取り組むに越したことはないはずです。

 18: 認知症、脳梗塞

2015年の4月と6月に相次いで興味深い調査結果が学会誌にて報告されました。
ひとつは「Annals of Neurology」の6月号。
米国・南カリフォルニア大学(USC)の研究チームが1403人の女性を6~7年に渡って調査したものです。特にPM濃度が高いエリアで暮らした高齢女性のMRI画像解析で、神経細胞の連絡路である脳の白質(はくしつ)の容積が少なくなっていることが判明。
つまりPMに長期に渡り晒されると脳が委縮し、認知症などを発症しやすくなるという結果が出たのです。

物忘れが激しくなった男性

もうひとつは「Stroke」4月23日付。
米国ボストンのベス・イスラエル・ディーケネス医療センターのウィルカー理学博士(Elissa H. Wilker)によると、60歳以上高齢者層の943人を調査したところ、PM濃度が高いエリアに在住している人ほど脳の容積が減少するという結果が得られています。

PM2.5濃度が1立方mあたり2μg増えるにつれ、反比例して脳の容積が0.32%減少し、無症候性脳梗塞(脳卒中の既往がない人に検査などで偶然発見される脳梗塞のこと)発症のリスクも46%高くなるのだとか。

無症候性脳梗塞は将来的に脳梗塞を招く危険因子であり、認知症の遠因ともされています。

PM2.5が付いた食品を食べた場合