PM2.5・黄砂対策100選

春の空を霞ませる黄砂
知っておきたいそのキホン

黄砂って何だろう?

 3: 黄砂とは

春先になると空を覆ってしまう黄砂。英語表記ではAsian dustと呼びますが、これが中国由来の砂であることはよく知られています。
具体的には中国の中央に位置する黄土高原、北部のゴビ砂漠、西部のタクラマカン砂漠などから飛んで来る砂で、乾燥地帯に吹き荒れる風に舞い上げられた砂塵がはるばる海を越えて日本までやって来るわけです。

とはいえ一年中砂が飛ぶわけではありません。春先になると黄砂情報が飛び交うように、冬の間は砂は舞い上がらないのです。その理由とは、冬の間は風が弱く、表土に雪が積もるから。
春になると雪が融けて消え、偏西風が吹き始めるため、春以降に黄砂が飛ぶというわけです。同様に夏になると雨が降るので、逆に舞い上がりが減っていきます。

舞い上がる砂塵

2月から5月ごろにかけて舞い上がった砂は風に乗り、3~4日かけて日本に飛来、落下します。

 4: 黄砂はただの砂ではない

海を渡って飛んで来るほどですから、黄砂の砂粒は非常に小さなものです。粒子の大きさは平均で4µm(=0.004mm)。あくまで平均ですので、500µm以上のものもあれば、わずか1µmのものもあります。
先述のPM2.5の定義に従えば、黄砂もまたPMであり、黄砂の中にはPM2.5に該当するものが多くあると考えて良いわけです。

その黄砂ですが、成分は日本の砂とあまり変わりません。せいぜいカルシウムの割合が多いという程度です。
しかし砂漠から日本まで飛来する途中、空中でさまざまな物質が吸着してしまう特性があるのが厄介。二酸化窒素 (NO2) や二酸化ケイ素 (SiO2) といったいわゆる工場や火力発電所などのばい煙、自動車や船舶からの排ガスが、黄砂の粒子と結び付くのです。
中国は大気汚染の見本市のような状況ゆえに、汚染物質が数多く黄砂と結び付いて日本へ飛来します。

黄砂で霞む5月の東京
▲黄砂で霞む5月の東京

とはいえ、黄砂が完全に有害で悪であるというわけではありません。台風が渇いた夏の大地に豊かな水をもたらしてくれるように、黄砂にも長所があります。
ひとつは酸性雨のアルカリ化。黄砂に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)いわゆる石灰が、酸性雨と結び付いて酸を中和してくれます。

もうひとつは海洋プランクトンの増殖を助けること。海に落下した黄砂に含まれる鉄は、プランクトンの光合成を促進させます。これにより、魚のえさのプランクトンが増え、結果的に魚介資源が増えるという仕組みなのです。

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